福田マジック   

 いずれ辞めるだろうと思っていたが、意外に早かった。福田首相の退陣劇が、である。
 もともと、福田首相には、自らの手で乾坤一擲の解散を打って出るほどの決断力も、気骨も、度胸もあるようには思えなかったが、この時期に退陣するとは想定外だった。しかし、民主党の党首選びのこの時期に辞任をぶつけてきたのは、ある意味、計算したうえでのことと考えると納得できる。
 マスコミでは、「安部前首相に続く二度の政権放り投げは、自民党にとって打撃だ」と論調しているが、あれは建前論。自民党議員がテレビに出て殊勝な顔でお詫びしているのも、いわば演出。考えるまでもなく、権力を握っているものは凡人が考える以上にしたたかで、唯々諾々とそれを手放すほどお人よしではあるまい。
 福田首相がずるずる居座って解散に追い込まれるのは、自民党には最悪のシナリオ。それよりは、いま退陣して華々しく総裁選をやり、マスコミに大々的に取り上げてもらえば、放り投げによる負のイメージ以上に、国民の関心は新総裁・新首相に移っていく。その熱が冷めないうちに解散して選挙に勝つと読んでの今回の辞任劇と見ると、やれ麻生だ、小池だ、石原だと騒いでいるマスコミの報道に、福田首相は「してやったり」とほくそ笑んでいるに違いない。
 民主党議員の引き抜きに続いての福田マジック。権力を維持するためなら、そうしたサプライズを含めてあらゆる手を打ってくるのが自民党であり、だからこそ戦後ずっと政権の座にありつづけたわけだ。見事にはまって自民党が選挙に勝利すれば、勲一等は福田首相ということになろう。怖い話だ。
 
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by wordweb | 2008-09-03 16:42 | 頑固一筆

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