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制作余滴   

月がきれいな季節ですね。
現在、小学生向けに、
四季の風物や俳句の季語を紹介する
「四季のことば絵事典」を制作中です。
そのなかからこぼれ話をひとつ。

●萩咲きて家賃五円の家に住む 正岡子規

こんな句がありました。明治30(1897)年の句です。
ネットによると、
子規は明治31年に40円の月給をもらっていたそうです。
また、
「高浜虚子の九段上の家賃は16円(明治34年)」とか、
「子規は上根岸の家で母・姉と同居のつつましい生活を送っていた」
などの解釈も見つけました。
確かに子規と裕福なイメージは重なりませんが、
さてこの句は
「ぢっと手を見る」というような感覚で詠まれたものなのか。
なおも調べたところ、
こんな句を発見。

●名月や十三円の家に住む 夏目漱石

明治29年9月の句です。
漱石は明治29年4月、
熊本に英語教師として赴任しています。
同年鏡子夫人と結婚。
夫妻は熊本に住んだ3年あまりのあいだ、
6回転居しています。
この句は結婚早々転居した熊本第二の家で詠まれたもの。
当時の熊本では高い家賃だったようです。
つい先ごろまで独身で、
知人の家に世話になるなどしていた漱石のこと。
「所帯を持つ」ことで起こった
身の回りの変化を詠んだものでしょう。

当時、漱石と子規の間には
盛んに書簡が交わされていました。
ここまで来て、子規の句が鑑賞できます。



漱石:今オレ家賃13円( ´⊿`)y-~~

         子規:オレ5円~~-y (´Α`)



……。
証拠を探し、動機を探る。
文学研究には推理小説のような楽しみがあります。
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by wordweb | 2008-10-17 13:17 | 東京・半蔵門通信