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あの手 この手   

滋賀県立近代美術館で開催されている「生誕100周年記念 ブルーノ・ムナーリ展 あの手この手」に行ってきました。
ブルーノムナーリ(1907〜98)は、私の尊敬するデザイナーの一人です。今回の展覧会は、彼が携わった本を中心に展開されていました。個人的にはグラフィックやプロダクトデザインなど、もっと他の作品も見たい気持ちもありましたが、実際に絵本を手に取って見ることもできたし、「話すフォーク」や「ネガティヴ・ポジティヴ」なんかもあったし、いやぁ、結構お腹いっぱいになりました。一緒に連れて行った下の子どもも、行く前はまた美術館か…という感じで、あまり気の乗らない様子だったのですが、エントランスにある大きい絵本で心をうばわれ、最後まであれやこれやと楽しんでいました。
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そんな中で印象に残ったのは、やはり絵本。ムナーリは、5歳になった息子にプレゼントするいい絵本がなかったので、自ら絵本制作を始めます。先にも書きましたが、そのようにして創られた絵本9冊を、実際に手に取って見ることができました。それらの特徴は、どの本にも主人公がおらず、ページごとに大きさや形のちがう紙が貼られ、それを読者である子ども自身が開けていくことで、物語が進んで行きます。子どもが考え想像しながら、自らの手で物語を進めて行く、そんな楽しさがムナーリの絵本にはあると思います。
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ムナーリはグラフィックデザイン、プロダクト、玩具など多彩な分野で活躍した人ですが、どの作品も見る人を楽しませてくれます。気高くもなく、こびるわけでもなく、常に同じような目線で創られた作品は、愛着を感じ、素直にその中にあるメッセージを感じ取ることができます。彼は「デザイナーとは世の中の人々のために役立つアートを生み出す職業」だと言っています。彼の作品を見ていると、お決まりの規則や体系にしばられてしまったものから、もっと自由な発想と好奇心で見つめなさいと言われているような気がしました。(D-ryo)

by wordweb | 2008-06-21 15:17 | デザインな日々

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